甲斐稜人「姿勢を伝える責任」 | Proneo Japan

甲斐稜人「姿勢を伝える責任」

Fリーグが開幕し、レギュラーシーズンは1巡目を終えようとしている。

昨季、全日本選手権を制したペスカドーラ町田は、開幕8節を終えた時点で3位と上位につけている。

優勝を争うチームのキャプテンに今季から就任した甲斐稜人に話を聞いた。

※本インタビューは2026年7月21日に行われた。

ーーまず甲斐稜人選手が所属する今季のペスカドーラ町田について質問させてください。開幕5試合で失点が6でした。そして迎えた6節の長野戦で前半に4失点をしました。ですが、後半に5点を決め、逆転勝ちしました。順位においてポイントの離れたチーム、つまりペスカドーラ町田にとって優勝するために負けてはいけないゲームを落とさずに3ポイントを手にしたと思います。

 ですが、このボアルース長野戦を含めて、最近3試合(6節ボアルース長野戦、7節しながわシティ戦、8節名古屋オーシャンズ戦)では17失点をしています。タイトルを争う上位との2試合だったとはいえ、失点が急増しました。優勝を狙う上で、チームの安定性は不可欠だと思います。そして安定性を高めるには、失点の減少がポイントだと思います。一方で得点数は開幕5試合で15得点で、最近3試合で16得点と上がっているので、やはり優勝するためのポイントは失点数の減少だと思いますけど、甲斐選手はどう思われますか?

 

「まさにおっしゃるとおりで、今シーズンが始まる前からルーカス監督はセットプレーとディフェンスに時間を割くとチームに言っていました。昨シーズンは攻撃のモデルに時間を使い、ディフェンスは高い強度を持ってのマンツーマンというオプションだけでした。今シーズンは退いてからのゾーンディフェンス、そして前からのゾーンディフェンスを取り入れて、やって来ました。今シーズンはここまでゾーンディフェンスについては、練習ではうまくいっている部分が、試合ではあまりうまくいかない。そういう時間を過ごすことが多かったです。

 ただそのことが失点に直接関係しているか? と言われたら(ゾーンディフェンスがうまくいなかったことが起因による失点は)2、3点くらいしかないと思うんですよね。というよりは本当に個人のミス。個人の1対1で抜かれるとか、ボールの取られた方とか。僕が思うのはいろんな守り方、攻めもそうですけど、ひとりひとりがまず対人のところで負けないとか、責任を持ってマークについていくとか、そういう当たり前のところが出来ていないとチームとしてどんなにいいことをやろうとしても、やはりそのベースがない分、脆くなってしまっている。そういう印象ですね」

 

ーー上位チームとの対戦、例えばしながわ戦、名古屋戦は得点の奪い合いでしたが、ひとつひとつ両軍の得点シーンを見ると、ディテール、個人のミスが勝負を大きく分けた部分があると思いました。個人の能力、個人のレベルをあげていくことが、チームの総合力をあげる。それが優勝するための課題なんですかね?

 

「やっぱり、そうですね。僕の肌感ですけど、マンツーマン(のディフェンス)であれば、自分がマークする相手にやられるか、やられないか。分かりやすい責任の取り方ができるんですけど、ゾーンになると責任逃れ、言い訳をしやすいじゃないですか? かと言って町田の選手たちがゾーンディフェンスのミスについて言い訳しているわけではありませんし、それが僕の言いたいことではありません。

 僕が名古屋から町田に復帰してから初めて、今季からゾーンでのディフェンスをやっています。なので、もしかしたらチームはまだゾーンディフェンスに慣れていない、もしくはチームに浸透していないかもしれません。それは今のディフェンスのミスが起こる要因のひとつかもしれないですけど、その理由だけではないと思います。またそこを理由にしていたら、それは言い訳でしかないし、問題の根本ではないと思っています。それを言い訳にしていたら、前に進めない。ディフェンスのやり方がどうこうとか、そういう問題ではなくて、恐らくどの守り方をしてても、僕も含めて、それぞれの選手が、今の脆さのままディフェンスをしていたら、失点はするし、ゲームは難しくなっていく一方かなと思います」

 

ーー名古屋戦でコーナーキックから甲斐選手のダイレクトシュートからボールを奪われ、カウンターから5-5の同点にされてしまいました。ディティール、そして個の力を上げなければいけないというのはああいう部分ですか?

 

「はい、そうですね。あそこであの(パターンの)セットプレーを選択したこと事態がやっぱり。正直あの時間帯であの点差であれをやるべきではなかったなっていう。キーパーまで下げるか、もしくは僕がコートにボールを残さない終わり方にする、プレーを切るっていうのをしなければいけなかったです」

 

ーー今季からキャプテンになりました。甲斐選手はキャプテンであろうが、なかろうが、今までのように試合や練習に取り組む姿勢は変わらないと思うんですけど、キャプテンになって何か変わりましたか? 今の町田って若い選手がすごく多いじゃないですか? 甲斐選手は毛利選手と同じ2001年生まれで25歳ですが、ふたりよりも歳上の選手は今のメンバーで4人しかいません。

 

「確かに、そうですね」

 

ーー年下は10人です。そして1番歳下の選手とは8歳も違います。

 

「本当にそうですね。僕と元亮が(Fリーグ)でデビューした時の歳よりも前にプレーしていますね」

 

ーー年齢ではスポーツチームにおいては中堅だと思うんですけど、キャプテンはチームの顔として、選手の代表としていろんなことを発信したり、発言しなければいけない立場だと思います。また町田のような下部組織出身者がメンバーに多いクラブにとって、トップチームのキャプテンというのは常に下部組織の選手たちの模範にならなければいけない存在です。今シーズンからキャプテンマークを巻くようになって、そういった気持ち、取り組みの変化みたいなものはありますか?

 

「“優勝をしなければいけないチーム”ではなく、まずは“優勝を目指すチーム”として優勝する、優勝する、優勝すると去年も言っていたし、今年もそれを目標にしているんですけど、去年は残り8節くらいを残して、優勝争いの土俵から漏れちゃんったんですよね。優勝できないとなった時に自分の優勝したいという気持ちがまだまだ甘かったなって思ったのと、その時にチームに伝えようか、伝えないでおこうか、と迷って伝えなかったことも多くありました。

 今シーズンは本気で優勝を目指すチームとして、その姿勢を伝えていきたい。特に先ほど言っていったように自分よりも若い選手が10人いて、その中には今シーズンからF`リーグにデビューする選手が3人います。今シーズンはキャプテンとして、姿勢を伝えることに責任を持つ立場になったので、それをどれだけ見せられるか。優勝するためには何が必要か。そのためにチームとして共通認識をとることが必要であれば、みんなで話したし、その機会をつくることもしたし、これからも必要だったらしていきたいです。

 僕は年上の方から言葉をかけられても、その言われたことがあんまり入ってくるタイプじゃありませんでした。それよりもこの選手がそれを言うから伝わる。人と人との関わりってそういうものがあるじゃないですか? 僕はやっぱり名古屋に行って、“優勝をしなければいけないチーム”でプレーしたので、そこに長く在籍した選手の取り組む姿勢であったり、考え方、本当にフットサルに対する気持ちとか、ここまで考えながらやっているから、ここまで行けるんだな、とかすごい学ばせてもらいました。だから、まずは“優勝を目指すチーム”のキャプテンとして、僕は本当にがむしゃらにできることを毎日全力でやり続ける。僕がチームやメンバーに話して伝えるよりも、僕がそう取り組むことで、自分の意思を伝える。それが自分のためにもなるし、チームや他の選手のためになる。今の自分のキャプテンとしての考えはそういう結論です」

 

ーー名古屋の話になりましたけど、昨シーズンで引退された吉川(智貴)選手、篠田(龍馬)選手を外から見ていて、背中でチームを引っ張るリーダーと思っていました。彼らのように自分の背中を示して、チームを引っ張っていくことを昨年よりも強く感じているということですかね?

 

「そうですね。キャプテンになって特にそれが伝わりやすい立場になったので、僕の行動次第で年下の選手たちの取り組み方も変わると思います。年下の子たちが今の僕らのように中堅になった時に、またさらに下の世代から選手たちが上がってくると思います。そのようないい影響を互いに与えられるサイクルであれば、ペスカドーラ町田はさらに強くなっていきますし、僕らの世代にとってもいいことです。ポテンシャルの高い年下の選手があがってきた時に、トップチームのメンタル、姿勢の部分が間違っていたら、このようなサイクルを発展させていくのはなかなか難しくなっていくと思うので。

 なぜそれを思ったのかと言ったら、正直、名古屋に行かなかったら気づかなかったなってことがあったからです。リーグで優勝をし続けるのは、有力な日本人、外国人選手がいて、すばらしい環境があるから簡単そうに見えるけど、全く簡単なことではないし、彼らは選手としてアスリートとして、優勝するために、そしてチームでの自分の立場を守るためにさらに高いレベルに到達しようと毎日を必死に過ごしていました。そのプレーに生活が懸かっている、だからこその試合に懸ける思い、アスリートとしての取り組む姿勢。それを実際に感じることができたのは、やっぱり外に出たからこそだし、僕にはその感覚があります。だからキャプテンである僕は、名古屋で僕が最も感じたことを今は僕が選手として、人として自分の毎日の振る舞いや取り組みから、トップチームの年下や上がってきた選手に示していかなければって。『どの立場がそんなこと言っているんだ?』って言われれば、それまでですけど、そう思っています」

 

ーー環境についてです。町田はクラブハウスがあり、ジムにも使えます。

 

「クラブハウスには食事ができるところがあり、ジムがあり、Fリーグで最もいいと思っています。ただ大きく環境と言うと、僕らはまだ朝の7時から9時まで1日1部練習で、2部練習は出来ていません。だけど、これからはFリーグで最もいい環境になっていく、リーグタイトルを勝ち続けなければいけないチームになっていくと思います」

 

ーー昨シーズン、クラブとして10年ぶりのタイトル、全日本選手権を勝ち取りました。ただ町田の誰も全く満足していないという印象を受けますし、自分たちはたまにタイトルを獲得するチームではなくて、毎年優勝、何かしらのタイトルを取らなくちゃいけない、そういう気概を感じます。

 

「全日本選手権を優勝した時、その時は嬉しかったですけど、恐らく誰もそのタイトルで満足していた選手はいなかったと思います。優勝で終わった瞬間に嬉しい気持ちはあったんですけど、カップ戦を取れるポテンシャルがあるのに、なんでリーグが取れなかったんだろうって悔しさの方が僕は強かったんで。選手もそうですし、フロントも2028年のプロ化に向けて動いていきます。それに向けてクラブも、チームも、選手もプロ化に向けた意識付けをやっていくというのは昨シーズンからあったので。

 僕は名古屋に在籍し、日本代表での経験もありますけど、本当に自分自身にとっては苦しい時間を過ごすことの方が多かったです。だけど、やっぱりその苦しいところから絶対に逃げたくなかったし、今後も逃げたくない。そんな苦しく、悔しい思い、反骨心で、結果がを出すために、チームがもっと高いところに行くために、そして自分自身がもっと高いレベルでやるために、自分のできることに今取り組んでいます」

 

ーー甲斐選手は2024‐2025シーズンが10得点、昨季は9得点でした。今季はここまでに4得点です。今季の目標の数字を頭に描いたりしていますか。

 

「数字は15点以上は確実に取りたいなと思っています。また数字ではないですけど、個人としては全てにおいてクオリティの高い選手、フリーランニングも、パスの質も、ドリブルも状況判断も3人目の関わりであったり、常に1番いい選択肢を踏める選手になることです。あとはやはりどこでもで戦えるためのフィジカルを身につけることです」

Resumen
甲斐稜人「姿勢を伝える責任」
Nombre del artículo
甲斐稜人「姿勢を伝える責任」
Descripción
Fリーグが開幕し、レギュラーシーズンは1巡目を終えようとしている。 昨季、全日本選手権を制したペスカドーラ町田は、開幕8節を終えた時点で3位と上位につけている。 優勝を争うチームのキャプテンに今季から就任した甲斐稜人に話を聞いた。 ※本インタビューは2026年7月21日に行われた。
Autor
Publisher Name
ProneoJapan
Publisher Logo
上部へスクロール